「アメリカ南西部国立公園巡り」

11月12日 渡辺達子

5月中旬、念願のアメリカ南西部国立公園巡りの旅(2週間)を夫と実現させました。

アメリカの都市にはあまり食指は動きませんが、広大な大自然は別物です。先ずは6泊7日で、レンタカーでPetrified Forest
(アリゾナ)、  Monument Valley Navajo Tribal Park (アリゾナ)、  Arches(ユタ)、
Canyonlands(ユタ)、 Mesa
Verde(コロラド)などの国立公園を巡り(2200キロ)、後半5日間をアートの都市、サンタフェの友人宅で過ごしました。

ニ火会では、旅先から家族に送ったEメールの旅行記を紹介しながら、たくさんの写真を見ていただき、ツアーでは行きにくい地域ですので、皆さんに珍しがっていただきました。

旅行記から、少し抜粋します。

♫2日目♫
走れども見渡す限りの大平原。ところどころにテーブルのような台地(メサ)。まったく西部劇の舞台です。幌馬車やインディアンがでてきそうだ。天候に恵まれ、快適なドライブ。今日は化石の森国立公園とメテオールクレーターを観光し、Petrified
Forest NPには本当に2億2500万年前(三畳紀)の杉の大木が化石化したものがごろごろしておりました。幹が全部アメジストやメノウなどのクリスタルになっています。Painted
Desertという、成分の違いで白から赤、黒までいろんな色の層になった砂漠とか、「おら、こんなのみだごどね。たまげだ!」状態。

メテオールクレーターは5万5千年前に隕石が衝突してできたでかい穴。

岩山と砂漠、景観としては面白いところですが、ここらはインディアンカントリーで、保留地に住んでいるインディアンの人たちは厳しい気候の中、大変そうだ。ほとんど農業などはできそうもない。観光地で働くか。生活保護でアル中か。カジノで儲けている部族もいるそうですが。インディアンジュエリー、織物、木彫りなどの民芸作品を作っている人たちもいる。これらの作品は非常に評価も高く、誇りも保てる分野だと思います。

今夜、泊まっているWinslow(AZ)のLa Posada
Hotelはサンタフェ鉄道が盛んだったときに建てられた古いホテルを10年前ぐらいから復元したもの。
食事もアメリカと思えないほどおいしく(失礼)、インテリアはインディアンアートで素敵にまとめられています。
Mionという画家のコレクションもたくさんあります。ホテルの目前を鉄道が通ります。100個ぐらいのでかいコンテナを運ぶ、長い長い貨物列車です。今でもLAのロングビーチ港とサンタフェ(もっと東部に行くのかな。知らない)を結び、現役。

旧道ルート66のそばのハイウエイを走ってきました。孫の好きなアニメ「カーズ」は、新しい高速道路ができ、忘れ去られた古いルート66沿い町の話でした。一緒に見ておいてよかった。

♫3日目♫
La Posada Hotelの朝食も野菜たっぷりでおいしかったのですが、食べきれず、今日のランチ用に箱に入れてもらいました。
日差しは強いですが、まだ温度はそんなにあがりません。日焼け止めのアネッサ++++は強力でききます。二人で顔といわず、手足にもしっかり塗って出発。200キロ西に、さらに200キロ北上し、モニュメントバレー・ナバホ・トライバル・パーク(アリゾナ)まで。まっすぐにただただ走ります。
私も時々交通量の少ないところを運転します。やっと左右の違いにも慣れてきました。海抜1200メートルから2000メートルぐらいの高地を走っているのよ。

モニュメントバレーは赤い大地に赤い巨大なモニュメントのような砂岩の岩が林立している、摩訶不思議なところ。ナバホ族の国です。日本で言えば弁天岩とかのたぐいの、スリーシスターズ、ミトン、キャメル、エレファントみたいな名前がついています。この中を3時間のガイドつきツアーでまわりました。舗装されていない、がたがた道を軽トラに座席がついた自動車に乗って、絶景を案内してもらいました。直射日光が照りつけますが、風はさわやかなれど、悪路のがったんがったんが大変で、腰が痛い人ならすぐ悪化してしまいそう。もっと年をとったら無理。今年実行してよかった。
日陰の涼しい、天井の穴が鷲の目に見える洞窟で、横たわり目をつぶって、ナバホ族ガイドさんの笛や歌をきくという趣向もありました。「とんびがくるりと輪を書いたホーイのホイ」みたいなメロディーや、私が鳥だったときあなたに恋をしたなどと、女声のような高い音で歌っていました。
ホテルは公園内で唯一のView
Hotel。ここもナバホ族の女性の経営。赤いテラコッタで周辺から目立たないようにした建物です。ベランダで満天の星を見ながら、(アルコールが禁止のところなので)、マイケルにもらっていたカリフォルニアワインを飲みました。
明日はArches 国立公園(ユタ州)を目指します。

♫サンタフェ 到着♫

ローリー達はプリウスを2台持っています。一台はうちのと同じ紺色で、なつかしい。車の後ろに、オバマ&バイデンのステッカーが貼ってある。いかにもでしょう!

サンタフェはアートギャラリーやインディアン・ジュエリーのトレーディングポストだらけ。街角にミュージシャンもたくさんいる。オールドタウンは2000年ごろに、街並みの外観を、全部インディアンの土壁風(アドビスタイル)に統一したそうで雰囲気があります。世界で三番目のアート取引と書きましたが、本当にギャラリーafterギャラリー。日本の竹、藤細工の籠に特化したところもあり、私は不案内ですが、きっと名工の作で、何百万円、何十万円もしていました。こんな所にも日本美術のマーケットあるのですね。
朝はファーマーズ・マーケット(オーガニックの野菜など、地元の高いけれど良質のものを売っている)に立ちより、トルティーヤで卵やベーコンを包んだブリトーを食べに行き、昼はフレンチのお店で軽食、夜はメキシコ料理の店で、生カキやシーフードと三食外食でした。彼らのいきつけの安くておいしい店です。普段でも外食が多いそうです。
カウボーイのミュージアムにも行った。 カウボーイというのもアメリカ人には重要なアイデンティティーなのでしょう。
サンタフェの人々は、アートの町の住人だけあって、昔ヒッピー、今金持ち退職者みたいな人が多い感じがするよ。アメリカの他都市とは本当に違う所です。
目いっぱい楽しんでいます。

♫サンタフェ 二日目♫

毎日気持ちの良い日が続いています。肌寒いぐらいかな。 今日は美術館2か所とコンサートでした。
International Folk Art MuseumのAlexander
Girardというデザイナーのコレクションはすごかったです。驚くべき量の民芸品を世界中から集め、彼のデザインで配置してあります。一個一個はなんということもない、ありきたりの民芸品が集められて、ソートされたり、飾る背景をデザインすることで、全然違った意味をもって迫ってきます。
アルバカーキでは去年「日本のアールデコ」という展覧会が評判だったそうです。

♫サンタフェ 最終日♫
ナバホ族のアンティークのブランケットやラグの美術館へ。昔、ブランケットは寝具ではなく、オーバーコートの様に羽織り、ラグも部屋の敷物ではなく、鞍の下に馬を守るためにかけるものだったということをはじめて知りました。
ナバホ族の織物は本当に高いです。我が家に、35年前にパサディナで買ったアンティークの似たようなインディアンラグがあって、じゃけんに使っていましたが、ひょっとして、あれはもっと大切に扱われるべきものだったか!!

♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫♫
以上のような楽しいアメリカ滞在後、無事帰国。乾燥の砂漠地帯を見慣れた目に、飛行機から見る日本は、緑にあふれ、特に水田が優しく美しかったです。

これまでのヨーロッパ旅行と較べるとハードでしたが、二人揃って、それに耐える体力気力もまだまだ十分だったことがうれしい限りです。


♫♫おまけ♫♫

ナバホ自治警察物語とサンタフェ・ミステリー

この地域を舞台にした小説の紹介。この旅行なければ、決して出会わなかった小説。
帰国以来、DVDを買ったり、Kindleでダウンロードしたり、図書館で借りたりと夫婦で虜になっている。

Tony Hillerman トニー・ヒラーマン

ナバホ自治警察のリープホーン警部補やチー巡査が主人公。保留地の美しくも荒々しい自然と伝統に生きるナバホ族の習俗や思考方法が読み取れ興味深い。「死者の舞踏場」は1973年アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞。「時を盗むもの」は遺跡の発掘現場から女性人類学者が失踪、「魔力」、「コヨーテは待つ」など。早川文庫ミステリアス・プレスに翻訳あり。R.レッドフォードが全作品の映画化権を持っている。
DVD The Dark Wind
翻訳本はほとんど絶版になっているので、図書館やアマゾンの中古本で。原文のものはたくさんあり。

Michael McGarrity  マイケル・マギャリティー

「弔鐘」Serpent Gate 講談社文庫
サンタフェ警察の敏腕刑事ケビン・カーニーを主人公とするサンタフェ・ミステリー。サンタフェらしく美術品の盗難とメキシコ麻薬密売組織のからみ。翻訳されているのはこれだけだが、原書はたくさんあり。

Hard Country(訳本なし)は 西部開拓時代のカーニーファミリーの三世代に渡る苦難の物語。牛泥棒やインディアンとの争い、米西戦争などに翻弄される。現代のサンタフェ警察のカーニーはこの子孫らしい。

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