賢治シリーズ  「それぞれの賢治」

第1回 2010年 9月14日 菊池恒雄 「賢治レコードコンサート」

第2回 2010年11月16日  内宮博文 「銀河鉄道の夜」の聖書的解釈

第3回 2011年 2月 8日  小原隆史 「私にとっての賢治さん」

第4回 20114月12日 米倉幸夫 「宮澤賢治作品の絵本」

第5回 2011年 6月14日 勝浦喜代志「石川・宮沢賢治を読む会の紹介」

第6回  2011年 9月13日 小川先輩  「賢治と盛岡中学」

第7回  2011年11月 9日 阿部孝夫  「西のみすゞから北の賢治さんへ」

                           ~暗い時代に、永久に煌めいて~

第1回 菊池恒雄  賢治レコードコンサート

プログラム 

 

第一部 賢治作品  

 

1.歌    星めぐりの歌    1:36   宮澤賢治 詩曲

                      林  光 編曲

                      竹田恵子 歌

 

2.歌    北ぞらのちぢれ羊から  3:12 宮澤賢治 詩曲

                      林  光 編曲歌

         オペラシアターこんにゃく座と風の街合奏団  演奏

 

3.歌曲   精神歌         2:28 宮澤賢治 詩

                      川村悟郎 原曲

             佐藤将展 編曲演奏

                      佐藤真美 歌

 

4.朗読   小岩井農場パート1   11:06  宮澤賢治 詩

                      吉増剛造 朗読

 

第二部 賢治コンサートbyあらえびすコレクション 

 

5.器楽曲  J.Sバッハ:アンダンテ~無伴奏バイオリンのためのソナタ

                   第2番イ短調 BMW.1003より   

パブロ・カザルス チェロ

3:40       ブラス・ネット ピアノ 

1929S4)録音 

.Sバッハ:アリア~管弦楽組曲第3番ニ長調BMW.1068より

パブロ・カザルス チェロ 

3:49 オットー・シュルホフ ピアノ 

1930S5)録音 

 

6.管弦楽曲 ベートーベン「エグモント」序曲 作品84

ウィレム・メンゲルベルク 指揮 

4:29     コンセルトヘボウ管弦楽団 

3:42               1931S6)録音 

プログラムノート

  ★鑑賞の壺

 

1.2.賢治の作詞作曲作品 全8曲

1)星めぐりの歌

   天の川の西の岸に、すぎなの胞子ほどの小さな二つの星が見えます。あれはチュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまのすんでゐる小さな水精のお宮です。このすきとほる二つのお宮は、まっすぐに向かひ合っています。夜は二人とも、きっとお宮に帰って、きちんと座り、空の星めぐりの歌に合せて、一晩銀笛を吹くのです。それがこの双子のお星様の役目でした…         童話「双子の星」 1918(大正7)年頃の作品

   ★頭韻を味わう

    あ ひ あ ひ

2)月夜のでんしんばしら

 3)牧歌

 4)大菩薩峠の歌

 5)北ぞらのちぢれ羊から

   「音楽的素養」人を逆さに吊るして振っても、絶対にこぼれて落ちることのない、いわば賢治音楽の極北である。歌いはじめの音を第五音(ソ)の音と考えれば、これは一応長調の旋律である。が、そう聴かれることを拒否して逃げまわっている節まわしでもある。詩人の直感がみずからの〈素養〉を打ち負かして〈向こう側の世界〉へ飛び出してしまったような新しい音楽。希有のアマチュア音楽家ミヤザワケンジのわたしたちへの贈り物なのだ。                                 林光「賢治の音楽室」

★このCDの白眉は林先生の歌う声だ。賢治にもこれを聞かせたかった。

     詩人 吉増剛造   

 6)イギリス海岸の歌

  7)剣舞の歌

 8)太陽マヂックの歌

3.賢治の作詞作品

  西洋音楽の替え歌 スイミングワルツなど17曲

    劇「飢餓陣営」の歌 5曲

    童話「ポラーノの広場」の歌 4曲

    「種山が原の夜」の歌 2曲ほか

賢治の周辺には音楽がいっぱいあった。賢治自身が収集したレコード、親友の藤原嘉藤治のレコードや楽譜、無声映画の楽士たちによる伴奏音楽、浅草オペラ、讃美歌…。賢治はそれらたくさんの音楽を歌ったり、聴いて楽しみながら使えそうなものを探していたのである。そして、選んだふしに自分の歌詞をあてはめていく楽しい作業が始まる。おそらく、賢治は、歌詞なしのふしを誰かが即興で口ずさむと、そのふしにピッタリの言葉をすぐさま選んで歌える人だったと思う。                 (佐藤泰平「宮澤賢治の音楽」)

 

  川村悟郎への作曲依頼 1曲

   花巻農学校精神歌 賢治の作詞に賢治以外の人が作曲した唯一の曲

IBC製作の生誕100年記念CDに収録のもの(アベタカ企画を味わう)

4.賢治の詩的リズムの推移

  イ、五七五七七(短歌)

ロ、七・三・四(短歌的終止)

ハ、三・四・四・三(俗謡系)

ニ、三・三・七(わらべうた系)

ホ、四・四・七(仏教歌系)

ヘ、十五音=律(ジャズの影響?)

機軸が日本語のリズム構成ではマクシマムの十五音の行―そして

この構成を獲得するためにしばしばテンポのゆるい序句が必要とされる。

 

わたくしは…ずいぶんすばやく汽車からおりた…

 

★録音場所 雪の舞う小岩井農場北側 耳を澄ますと周囲に自然の音

「賢治の歩いたその場所で録音することに格別の意味がある」   1999.12.15吉増剛造

 

5-1.

 アンダンテ 無伴奏バイオリンの為のソナタをチェロ用に編曲したもの。チェロではバイオリンのように音を重ねられないため、リズム型をピアノに受け持たせている。

 アリア   後にバイオリンのG線だけで演奏されるウィルヘルミの編曲で「G線上のアリア」として有名になった。

カザルスの演奏→Celloが賢治にとって特別な楽器となるきっかけの一つ

 

 

5-2.賢治とチェロとカザルスホール

左側の写真がカザルスホール正面コンサート会場入口。右側の写真は、賢治が宿泊した八幡館のあった場所附近。建物の横を、明大通りから少し入った場所。ちょうど、カザルスホールの真下部分にある駐車場への入口で、その右上付近が、賢治の宿泊した8号室。「宮澤賢治とカザルスホール」(カザルスホール倶楽部会報、199711号)平面図より推定

 「セロひき」にとっては神様とも云うべきパブロ・カザルスの名を冠したこのホールではチェロの演奏会はもとより長岡輝子による賢治作品の朗読など賢治の記念イベントも度々開催された。本年3月コンサートホールとしての歴史に幕。

 

6-1.エグモント

 ゲーテの悲劇: オランダの名門出のエグモント伯爵は、祖国をスペインの圧政から救おうとして捕らわれ、死刑を宣告される。エグモント伯の愛人クレールヒェンはエグモントを救おうとしたが果たせず、絶望のあまり毒を仰いで自殺するが、彼女の幻影は自由の女神となって、獄中のエグモントの前にあらわれ、愛国の志士の死は無駄でなかったと祝福する。               音楽の友社「名曲解説集」

(エグモントではメンゲルベルク以上のを私はあまり知らない」あらえびす「名曲決定盤」

 

… 向こふの柏木立のうしろの闇が

きらきらつといま顫えたのは

Egmont Overtureにちがいない… 

       (中略)

とし子とし子
野原へ来れば
また風の中に立てば
きっとおまへをおもひだす…
    心象スケッチ 春と修羅 無声慟哭「風林」より

 

無声慟哭は永訣の朝、松の針、無声慟哭、風林、白い鳥の5編からなる

 

★クレールヒェン=トシの幻影?

 

6-2 賢治とレコード

 

 幼 少 時  祖父の好んだ義太夫のレコードを聴く

 1918T7) 従弟の店岩田楽器店にて初めて洋楽レコードを聴く

 1921 (T10) 稗貫農学校教諭となる

 1922T11)レコードを買い始める

       モーツァルト フィガロの結婚

       ヴェルディ スイミングワルツ、アイーダ

       ベートーベン 第六

      レコードコンサートを盛んに行う

       花巻(旧稗貫)農学校、花巻高等女学校音楽室、花巻駅二階精養軒、

羅須地人協会

 1927S2)羅須地人協会の資金作りにレコード交換会開催

       ドボルザーク 新世界交響曲

       ベートーベン 第四、五、七、月光、トルコ行進曲

       R.コルサコフ シャゼルラーデ

       エアーグナー タンホイゼル他

      日本ポリドール社長から花巻のレコード販売店高喜商店を通じ熱心な購入者の賢治へ感謝状が贈られる

      米ビクター本社宛竹針改良法のアイディアを手紙で知らせる

 

 

白亜の先輩文人達

金田一京助   

  1882. 5.5――――――――――――――――1971.11.14

  (M15                     (S46)  89

                  1901(M34)年次

 

 

野村胡堂    1882.10.15―――――――――――――――1963.4.14

                  (M15                      (S38) 81

                                 1902(M35)年次  

 

 

 

                      1885.10.28?

石川啄木     1886.2.20―――――1912.4.13  

                  (M19        (M4527  

                                            1903(M36)年次(中退)

 

 

宮澤賢治       1896.8.27――――――――1933.9.21

                (M29                  S837

                           1914(T3)年次

                       1908(M41)校歌校旗制定

 

 

 

 

第2回 11月16日 内宮博文  「銀河鉄道の夜」の聖書的解釈

 

by 幸田比呂 

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はじめに

 

宮沢賢治の作品「銀河鉄道の夜」には、聖書の内容を連想させる箇所が多数出現します。著者の解釈もまじえて、それらの聖書的理解を試みたのが本稿です。読者が必ずしも聖書で述べられる特殊な用語に精通してはいない、という前提の下に、聖書そのものの解説も加えました。本文中、「銀河鉄道の夜」や聖書に表現された記述は下線(アンダーライン:銀河      、聖書      )で示しました。

それでは、いよいよ、「賢治ワールド」と、神の霊感を受けて記されたといわれる「旧約・新約聖書ワールド」の扉を開いてみましょう。

 

 

 

ジョバンニの死:

 

「ジョバンニ、カンパネルラが川にはいったよ。」「どうして、いつ。」「ザネリがね、ふねの上から鳥売うりのあかりを水の流れる方へ押してやろうとしたんだ。そのとき舟がゆれたもんだから―中略―――けれどもあとカンパネルラがみえないんだ。」

 

ジョバンニの親友カンパネラは,川に落ちて死のたびに出ました。カンパネルラは水におぼれて死に、銀河鉄道のなかに復活します。そして、ジョバンニと二人の旅が始まるのです。

イエス・キリストは、ヨルダン川の川べりで、洗礼者ヨハネによりバブテスマを受けます。イエスは洗礼(バブテスマ)を受けると、すぐ水の中から上がられた。そのとき、天がイエスに向かって開いた。イエスは神の霊が鳩のように御自分に来るのをご覧になった。そのとき、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。(マタイによる福音書3章16-17節)。洗礼は、一度水の中に死に、キリストの死にあずかる意味を持ち、キリスト教では最も大切にされる儀式です。

 

続きは、以下のHPでご覧下さい。

 http://hiro.holy.jp/miyazawakenji

 

 

 

 

第3回 2月8日 小原隆史  「私にとっての賢治さん」

               HP奥羽の森     http://o-unomori.jimdo.com/

2010年9月21日 賢治祭

第4回 2011年4月12日(火) 米倉幸夫 「宮澤賢治作品の絵本」

 

二火会に顔を出すようになってから、お集まりの諸兄がいかに宮澤賢治に影響を受けているかを知り、それまで小学校の学芸会にセリフのない役で出演したぐらいのかかわりしかなかった宮澤賢治の作品を文庫本で読み始めました。  

絵本になっていたほうが入門者には読みやすいかなと思って、友人のイラストレーター高村哲さんにお願いして、今は月一冊のペースで絵本にしてもらってウエブ上に掲載しています。

 

そのきっかけは勤務先である青果物の生産・輸入・販売会社が加盟している、()日本青果物輸入安全推進協会の広報事業にかかわるようになってからです。 安全性に疑問といういわれのない風評被害を恒常的に受ける輸入青果物の身になって真実を伝えようと、協会は1995年から安全問題専門委員会なるものを作って広報活動を始めました。小生はその当時からの委員で、今では一番の古株になってしまい呉越同舟の渡し船の船頭といった役回りです。

協会はニュースレタ―、広報誌、ハンドブックなどの発行、シンポジウム・セミナーの開催、ホームページ、メルマガなどでのリスクコミュニケーションを行っています。

 

「注文の多いフルーツカフェ」は協会の発するメルマガで、2008年4月の開店以来、輸入青果物業界の内情を紹介しながら、読者の刷りこまれた固定観念を解くために必要な情報を提供しようとようという、購読対象を絞っていない妙なメルマガで、小生が融通無碍な発信をしてきました。 絵本コーナーとして、賢治作品の絵本製作を友人のイラストレーターに依頼して掲載したところ、好評だったのでので、以来連載しています。

 

賢治の作品は、既に数多くの優れた絵本が出版されていますが、一切それらは見ないことにし、次の絵本をどれにするか考えるのはとても楽しい時間です。二人とも宮澤賢冶作品は入門レベルなので読んでみた作品について、時おり、一夕酒杯を侍らせて語り合うことになります。自然、生命、人生についての深い洞察が濃く漂う宮澤賢治の文に、絵が醸す香りに引き寄せられる人がきっといるに違いないと思っています。

 

このメルマガ、架空のフルーツカフェでの常連客との会話と青果物雑学情報が中心の、素性の知れない執筆者がどんな意図で発信するのか見当がつかないものでは読む気もおきないだろうからと、取りつきやすくするために、イラストを多く使っています。そして賢治の作品は絵本になって、メルマガ「注文の多いフルーツカフェ」のイメージキャラクターの役割をさせられていることになります。

 

急逝した恩人の供養にと、参列した方に「星めぐりの歌」を印刷して配ると、その場でアカペラのデュエットしたご夫妻もおられました。 掲載された作品の中から、孫たちへいずれ年齢相応のプレゼントにしようと、しっかりと製本した絵本をいくつか用意しようと思っています。

 

<今までに掲載した絵本>

スコーブドリの伝記、 水仙月の四日、  星めぐりの歌、 貝の火

どんぐりと山猫、 注文の多い料理店、 虔十公園林、 おきなぐさ

狼森笊森盗人森、 蜘蛛となめくじと狸、 やまなし、 かしわばやしの夜

雁の童子、 風の又三郎、 よだかの星、 ひのきとひなげし

 

「雁の童子」を今日の記念に印刷しました。 是非この機会にメルマガの定期購読(無料)のほうもお申し込みを。

 

絵本をインターネットで見るには 日青協で検索し、日本青果物輸入安全推進協会へ。そこのトップページの右側にメルマガ「注文の多いフルーツカフェ」のタイトルの絵があります。

以下をクリックすれば、最新号が開き、掲載されている絵本のリストがあります。

 「注文の多いフルーツカフェ」

 

米倉幸夫   e-メールアドレス yonekura_yukio@yahoo.co.jp